【探検隊】通地区のお母さんたちに漁師町の食文化を聞いてみた ~その2:季節の食材&きずし編~

ながと郷土料理探検隊・通編の第2回です。今回はくじらに続いて、季節ごとに通で捕れる様々な食べ物についてお話いただきました。後半では、長門の郷土料理「きずし」の話題をお届け。きずし名人の君川さんに、酢締めのコツも聞くことができました。今回も方言バリバリでお送りします!

取材/撮影:村尾悦郎

■通編:第1回「くじら料理」の記事はこちら
■通編:第3回「番外・通とむつみ会の今」の記事はこちら

お話を聞かせてくれた方々

海の幸・山の幸

―通はくじら以外にもおいしいものがいっぱいありますよね?

山田館長
山田館長

ここらはイカもおいしいけど、どんな料理がありますかいね?

綿谷さん
綿谷さん

ネギとイカで「ぬたあえ」とかね。

君川さん
君川さん

それと子持ちイカ。

綿谷さん
綿谷さん

そうねぇ。

君川さん
君川さん

子持ちイカを捕るには、イカが恋をする時期があって。それで群れになるのを海が「白む」って言うんです。海が真っ白になってね、それをどんどんすくって船の生け簀に入れていくんですよ。

―へぇ~「白む」ですか。

君川さん
君川さん

子持ちイカはね。醤油で炊くのがすごくおいしいの。

村田さん
村田さん

メスは目のあたりが赤くなってるの。イカが市場に並んでたらね、それを狙って取るんです(笑)

―では、季節ごとにも聞いてみたいと思います。春はどんなものが取れますか?

君川さん
君川さん

春は…アカイカ。

―どんな風に食べますか?

君川さん
君川さん

お刺身にしますね。うちは孫が大好きで、足の方もお刺身で出したら喜ぶんですよ。一番よく動くところが発達するからおいしいんでしょうね。

山田館長
山田館長

あと、春は「げんごろべぇ」っていうほがあってね。今はあんまりないけど。

―え? なんですか?

山田館長
山田館長

山菜でね、ハナウドっていうんよ。「通のげんごろべぇはおいしい」って評判なの。

村田さん
村田さん

のり巻きにげんごろべぇを入れて巻いたりしますよ。おひたしにしたりね。私はお嫁に来て初めて食べました。「ツワ」もね。

山田館長
山田館長

そうそう。ツワブキもおいしいね。

安森さん
安森さん

これは海の潮風があたるところでないと食べられないんですよね。新しい新芽に毛が生えて、皮がよくむけるうちでないとね。

村田さん
村田さん

それから「梅雨イカ」もあります。梅雨自分にたくさんイカが獲れる時にはスルメにして、お年寄りなんかが小遣い稼ぎにしてたみたいですよ。

安森さん
安森さん

隠居商売でね。男の人が小さな船で獲りにいって、それを女の人が割ってスルメにしよったいね。

村田さん
村田さん

この海岸べり(注:縁のこと)にばぁ~って竹竿が並んでね。

山田館長
山田館長

そう、ええ景色になりよった。まるで洗濯物を干すみたいにイカが並んで(笑)

―へえ~「梅雨イカ」ですか。

村田さん
村田さん

そういう時期があるんです。いっぱい集まるから誰でも捕れてたの(笑)

―夏はいかがでしょうか?

君川さん
君川さん

夏は…いりこかイワシかねぇ。

村田さん
村田さん

あとはメザシ。今はあんまり捕れんけどね。

山田館長
山田館長

イワシの水揚げが多いと加工業者も潤うんよ。多い時は通に10件以上業者がおったと思う。そのぐらいイワシ漁が盛んやったんよ。

―へぇ~そうだったんですか。

山田館長
山田館長

昔はね、上を向けばイカが干してある、足元を見ればイワシがむしろで干してある。そんな状態やったよ。

 

安森さん
安森さん

今はイワシの素干しも臭くないっちゃね。

君川さん
君川さん

臭いよ~あんた。今も匂うわぁね。道路から山に伝ってすごい臭いよ。

安森さん
安森さん

あら? そうかいね(笑)

―秋はどうですか?

山田館長
山田館長

秋になってくるとシラスとかね。昔はアブアミをよく捕りよったっちゃいね。

―アブアミ?

君川さん
君川さん

こんなね、ちいさいエビみたいな。

―ひょっとして釣り餌に使うあの…アミエビ?

綿谷さん
綿谷さん

そうそう!

―アブアミという言い方は初めて聞きました。どう食べるんですか?

君川さん
君川さん

いやいや(笑)餌になるそ。

―そうなんですね。冬はどうですか?

君川さん
君川さん

子持ちイカ以外やったら、う~ん、ブリですかねぇ? 通の定置網も元々ブリを捕るために始まったからいね。そのブリも今は温暖化の影響でね、あんまり網に入らないの。