津田農園と「くりめし弁当」のおはなし 第2回

津田農園さんの「くりめし」インタビュー第2回目! いよいよ民幸さんからくりめし誕生のストーリーが語られるほか、奥様の信子さんからはお弁当づくりの様子をうかがいました。くりめしファンの方は必見の内容です!(第1回はこちら

取材/撮影:村尾悦郎

 

「くりめし」誕生物語

―「くりめし」の開発はどのように進めていきましたか?

民幸さん
民幸さん

まずは冷蔵技術を勉強していきました。当時は栗を一年中保存するような技術って、一般的ではなかったんです。だからそれを探して、全国いろんなところを見て回りました。

 

―教えてくれたところがあったんでしょうか?

民幸さん
民幸さん

大変でしたよ。確かにやっているところはあるんだけれど、あってもなかなか教えてくれませんよね。

 

―「企業秘密」ですね

民幸さん
民幸さん

はい、それが普通ですよ。でも、とにかく一生懸命お願いしました。自分の人となりを見てもらって、信頼を得て。「そこまで言うんやったら」と、教えてもらうわけですね。

 

―ご主人の「真剣さ」をまっすぐに伝えたんですね

民幸さん
民幸さん

そうです。それから、長門で実際に保存方法も試していきました。そのころ、市内では深川養鶏(※)さんが大きな冷蔵庫を持っていて。それを当時の組合長さんが「うちのを使って実験してみなさい」と言って機会を与えていただきました。ずいぶん腐らして苦い思いもしましたよ。

(※)深川養鶏農業協同組合のこと。養鶏を営む農家を対象とした専門農協

 

―かなり苦労されたんですね

民幸さん
民幸さん

とにかく、一年間素材を確保できないとはじまりませんからね。

 

―「くりめし」というと一般的に炊き込みごはんのイメージですが、津田農園さんのものは酢飯ですよね?

民幸さん
民幸さん

それは「日持ち」という目線からです。弁当はお客様が食べる時間をこちらがコントロールできませんから。万が一のことも考えて殺菌作用を持っている酢飯なんです。

 

 

―それで酢飯なんですね

民幸さん
民幸さん

今は保冷庫とか便利なものがありますが、四十年前はそんなもの中々ないですから、そこは昔からの知恵ですよね。

 

―くりめしは一年中生産されていますが、一日にどのぐらいの量を作られるのですか?

民幸さん
民幸さん

それはね……言われん(笑) その年の栗の収穫量もありますが、付け合わせのものの素材の量もあって、その兼ね合いで毎日の生産量が変わってくるんですよ。だから考えなしにどんどん大量には作れないんですね。

 

 

―なるほど、素材の量で量が決まるんですね

民幸さん
民幸さん

材料も冷凍のものを買ってくるのではなく、なるべく地元産のものを使っているので、「今あるもの」以上は作れないんです。

 

―くりめしのレシピはどなたがつくられたのですか?

民幸さん
民幸さん

基本的なレシピは私のおふくろが作って、女房がそれを今に受け継いで続けています。

 

―では、調理を主にされているのは奥様ですか?

信子さん
信子さん

はい。誰かに手伝ってもらうこともありますが、基本的に私がやっています。

 

▲津田信子さん

 

―それはレシピを継ぐように要請があったんですか?

信子さん
信子さん

特にお義母さんからそういった話はありませんでした。でも、私が嫁いだ時、義両親はもう70代で、病院に通うことも多くて。くりめしを続けていくためには「私が覚えるしかない」と感じました。だから「やりなさい」とかは全くなく、自然に私から「やりましょう」となりましたね。

 

―どのように教わったんでしょうか?

信子さん
信子さん

はじめはお義母さんが作っていたものを見て、分量などのメモを取りながら勉強していきました。

 

―分量などは直接教えてもらってはないんですか?

民幸さん
民幸さん

昔の人はやっぱり勘でやることが多いじゃないですか。そういう感覚だから、色とか、手触りとかで味を見ていくんですよ。だからそんなのは教えようがないよね(笑)

 

信子さん
信子さん

そう(笑)だから、私はそれを「数字」にしていって、自分でも繰り返し作るうちにだんだんと掴んでいきました。

 

―付け合わせの味付けも行なわれているんですか?

信子さん
信子さん

そうですね。それぞれ丁寧に、フキなんかは4日間かけて作っています。

 

 

―4日間ですか!?

信子さん
信子さん

はい、まず下ごしらえをして、調味料と一緒にじっくり炊いています。あとは炊き加減を勘で決めて(笑)

 

―そこは「勘」なんですね

信子さん
信子さん

長年やっていますからね。「初日炊くのは〇時間、2日目は△時間」とお義母さんから教わっていますが、素材や季節の具合で微妙に炊きあがりが違いますから。そのあたりは火加減と時間を調整します。

 

―フキは本当に味が染みていますよね

信子さん
信子さん

味もあるんですが、とにかく口に入れるものだから、ちゃんと火を通さないと。

 

―そこは酢飯とも通じる思いがあるんですね

信子さん
信子さん

そうですね。やっぱり、買っていただくんですからね。お客さんに何かあってはいけません。

 

―そうして、今も昔も変わらない味が受け継がれているんですね

信子さん
信子さん

うーん、時々間違えますけどね。「今日はちょっと水が多かったな」とか(笑)

 

 

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Information

■津田農園

直売所ではくりめし弁当だけでなく、シーズンごとに梨、栗、ぶどう、ベリー類の販売が行なわれているほか、農園ではフルーツ狩りも体験できます。詳細は公式サイトまで。

・住所:山口県長門市俵山1569
・電話番号: 0837-29-0406
・営業時間:9:00~17:00

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