長門市油谷・向津具(むかつく)の棚田米を使った日本酒「純米大吟醸 むかつく」の2019年度仕込みがついに完成しました(販売開始は6月29日〔土〕)! 「むかつく」は長門市の元地域おこし協力隊、津田祐介さんがプロデュースしているお酒で、2017年の製造スタートから今年で3年目を数えます。「できたよ~」と、津田さんからの連絡を受け、ながとと編集部は「むかつく」を製造する阿武町「阿武の鶴酒造」に急行。津田さんにインタビューを行ないました。はたして今年の「むかつく」の出来栄えは!?
取材/撮影:村尾悦郎
・以前の記事:日本酒「純米大吟醸 むかつく」の仕込み現場に潜入!
「純米大吟醸 むかつく」プロデュース、津田祐介さんインタビュー
―あらためて、今年の「むかつく」の味はいかがでしょうか?

去年に比べて、甘さとフルーティーさが増していますね。もともと甘さが特徴の日本酒ですが、「もっと甘くてもいい」という声を多くいただいたので、今回やってみました。
―日本酒を「より甘くしよう」とするときに、どのように調整していくのでしょうか?

一口では言えないんですが、絞るタイミングだったり、発酵する時の温度調節で甘さをコントロールするんですよ。
―何かを加えるのではなく、そういった細かいところで調整されるのですね

そうですね。基本的な材料は変わらないので。
―それは杜氏の三好さんと相談しながら決めていくのですか?

はい、僕が「今回は○○な感じにしたい」というのを三好さんに伝えて、タイミングや温度などを決めていきます。

▲この日、阿武の鶴酒造では「むかつく」をはじめ、阿武の鶴酒造で作っている日本酒数種類の“火入れ”(日本酒の品質を長持ちさせるために加熱処理する工程)が行なわれていた
―「むかつく」は3年目となりますが、これまでにどんな反響がありましたか?

だんだんと「むかつく」のファンが増えているな、というのは感じます。嬉しいですね。
―「むかつく」のオススメの飲み方や肴はありますか?

うーん……やっぱり魚に合うだろうと思います。冷やして飲むほうが僕はオススメですね。
―「むかつく」を作ったのは何かきっかけがあったんでしょうか?

きっかけというか、作った当時、長門市がいろんな仕掛けをはじめていて。センザキッチンや湯本温泉の再生プロジェクト、ラグビーワールドカップのキャンプ招致などですね。そういったことに関連して、これから長門に訪れる方が多くなるだろうと思ったんです。そんな人たちに向けて、「長門のお土産として選んでもらえるお酒を作りたい」と思ったのがきっかけですね。
―「日本酒」という品目を選んだのはなぜですか?

「山口のお酒」が全国的にメジャーになってきていて、お土産として選びやすいんじゃないか、ということと、高校の同級生でもある三好さんがお酒をつくりはじめたこと……いろんな要素が揃っていたからです。
―お二人は高校の同級生なんですよね。もともと「二人でお酒を作りたい」という思いはありましたか?

それはないですね(笑)。僕が長門に地域おこし協力隊として着任したこととか、お米の提供をしてもらえるところが見つかったとか……いろんなタイミングが合致したからできたお酒だと思います。
―一年目から今年までを振り返って、津田さんご自身に何か変化は感じられますか?

変化ですか……ちょっと違うかもしれないですが、自分が思っていたよりも「むかつく」が珍しがられて、喜ばれているな、と感じています。名前だけでも注目されるんですよ。「向津具」という言葉は長門に住んでいる人からしたら当たり前のものかもしれないけれど、「えっ? なにこのお酒?」って(笑)。
―環境の変化などはありますか?

最初の年は、かなりバタバタした状態で作りはじめましたけど、最近は全体の流れもだんだんと把握できてきたので、余裕を持って作れていますね。

▲酒瓶のラベル貼りは一本ずつ手作業で行なわれている
―製造本数の塩梅も分かってきた?

はい。あと、嬉しい誤算というか、はじめは「観光客の方に」と思って作った「むかつく」ですが、最近は飲食店さんが「ウチの店のメニューで出したい」と、声をかけてもらえたりするのでありがたいですね。
―そういったことは想定していなかったんですか?

そうですね。卸した酒屋さんが営業してくれたりして入れてもらえたところもあって、本当にありがたいです。
―この3年間で、そういったつながりもできてきたんですね

はい。僕の知らないところでできていて、把握しきれないものもあったりするんですけどね(笑)
―この先、どんなことをやってみたいですか?

まずは「むかつく」を作り続けられるよう、頑張っていきたいです。次の展開もやっていきたいんですが、動ききれてないですね(笑)
―(笑)そうなんですか?

お酒とは別に移動販売車の営業もやっていますからね。でも、「むかつく」の次の展開としては、酒粕をもっと活用して、新しい商品開発に取り組んでみたいですね。その中で「むかつく」ブランドを作っていきたいと思います。
「純米大吟醸 むかつく」が入手できるお店など
■長門市内
・油谷湾温泉 ホテル楊貴館
・道の駅 センザキッチン
・宮田酒店(山口県長門市三隅中1313−1)
■山口市
・原田酒舗
■周南市
・中嶋酒店