人生は「やってみたい」で溢れてる! カフェ「あいころりん」店主・愛子さんのおはなし(前編)

JR長門市駅の手前にカフェ「あいころりん」がオープンしたのは3年ほど前。「子育てママがくつろげるお店」として、主に市内の主婦から支持を得ています。そんな「あいころりん」の店長を務めるのは福永愛子さん。お母さんとお姉さんと協力してお店を切り盛りしつつ、昨年結婚して幸せに暮らしています。今回、ながととはそんな福永さんにインタビュー。東京からのUターンと開業、カフェへの思いのほか、お店以外にも行っているさまざまな仕事について聞かせていただきました!

取材/撮影:村尾悦郎

 

未知へのチャレンジ

▲福永愛子さん

 

―福永さんは長門へUターンされていますが、帰ってくるまではどこにいらっしゃったんでしょうか?

福永さん
福永さん

東京で働いていました。高校を卒業して、専門学校に行って、テレビ番組の美術を制作する会社で11年ぐらい働いていましたね。

 

―「テレビの美術」って、どんなお仕事ですか?

福永さん
福永さん

大道具、小道具、装飾、衣装、メイクなどのことをひっくるめて「美術」と呼び、それらの全体の美術を管理する仕事を「美術進行」と呼びます。私はその美術進行をやっていました。ドラマの中に出てくる雑誌とか看板とか、小道具のデザインは自分でも作ったりしながら。

 

―面白そうな仕事ですね

福永さん
福永さん

楽しかったですね~。いつも文化祭をやってるみたいで(笑)

 

―「文化祭」ですか?

福永さん
福永さん

はい、みんなで準備して、人に見せるものを作って。「みんな、がんばろうぜ!」って(笑)

 

―なるほど。そんな福永さんがこうして長門に帰ってきたのはなぜですか?

福永さん
福永さん

いろんな理由があるんですけど……一番大きかったのは30歳を過ぎて、「家庭を持ちたい、子どもを育ててみたい」という思いが芽生えてきたからですね。

 

―「結婚したい」と思われた?

福永さん
福永さん

はい。仕事で作るもののクオリティは上がって、信頼を得て人脈も広がって、楽しくはあったんです。でも、同時に自分の「内面の成長」が限界に達してきているとも感じていて。

 

―それはどういうことですか?

福永さん
福永さん

「人間としての成長が止まっている」と思ったんです。このまま続けていても、スキルは伸びていくかもしれないけど、内面の伸びしろがほとんどないだろうなと。そう思ったら、仕事もあまり面白く感じなくなってきて。

 

―その「内面の成長」が結婚や子育てにあると思ったんですか?

福永さん
福永さん

はい。未知のことにチャレンジしたかったんです。「旦那さんや子どもと接して、家庭を守る」とか……当時の私にはそういったことが遠い世界だったので。

 

―結婚や子育てを「挑戦」ととらえているのが面白いですね

福永さん
福永さん

基本的に料理とか洗濯とかはしたくないんですけどね(笑) でも、だからこそやってみたくなったというか。そこに飛び込んだ自分がどんなふうに成長するのか、見てみたくなったんです。

 

 

逆境こそ燃える

 

―それでUターンを決意したんですか?

福永さん
福永さん

決意というか、とりあえず仕事を辞めて長門にいったん戻って。どうしようかな~と思いながら、しばらく宮古島にも滞在してゴーヤを育てたりしてました。

 

―宮古島で……ゴーヤ?

福永さん
福永さん

はい(笑) 友達を訪ねて宮古島に行ったんですよ。その時はゲストハウスに泊まってたんですけど、そのゲストハウスに「誰かゴーヤ育てんかね?」ってゴーヤ農家さんから依頼が来て。

 

―それで手伝っていたんですか?

福永さん
福永さん

はい。毎日畑に通うために自転車をこぎながら、「私はここでなにやってるんだろう?」とか思ってました(笑)

 

―道に迷ってる感じがしますね

福永さん
福永さん

人生で一番、悶々とした時期でしたね。それで、ゴーヤが育った頃に長門に帰ってきました(笑)

 

―その時点で東京に帰る気持ちはなかったんですか?

福永さん
福永さん

ちょっと迷いました。でも、東京に行って「また仕事させてください」って言うのも恥ずかしくて(笑)  長門に帰ってみようと思ったんですよ。

 

―宮古島でなにかをはじめようとは思わなかったんでしょうか?

福永さん
福永さん

それも考えたんですけど、元々漠然と「お店をしたいな」という思いがあって。それを縁のない宮古島でやるよりは、自分が生まれ育った土地で、何かしら見知った人を相手にするほうが性に合ってるんじゃないかなと思ったんですよ。

 

―「お店をしたい」と思ったきっかけはなんですか?

福永さん
福永さん

宮古島に子育てママさんたちが通うカフェがあって、そこに行ったときに「これいいな」って思ったのがきっかけです。座敷でお母さんたちがいろいろ喋ってて、その周りを子どもたちが自由に遊んでいて、とてもいい雰囲気で。

 

―それが今のお店のヒントになったんですね

福永さん
福永さん

そうなんです。「こういう店、長門にはきっとないだろうな……やってみようかな」って調べはじめて。「私はお店を作って、料理はお母さんがやって、デザートはお姉ちゃんに作ってもらって……よしできた! じゃあ長門に帰ろう!」って、帰りました(笑)

▲あいころりんの座敷スペースの様子。柔らかい木の上で子どもたちと一緒にゆったり過ごせる

 

―お店をご家族とやりたいという気持ちもあったんですね

福永さん
福永さん

いえ、実はこれも私なりの挑戦なんです。「親と一緒になにかをする」って、考えてもみなかったし、苦手に思ってたんです。嫌いってわけじゃないんですけど(笑)

 

―「そこも挑戦してみよう」と?

福永さん
福永さん

はい(笑)

 

―ひょっとして、逆境に身を置きたいタイプですか?

福永さん
福永さん

完全にそうですね。逆境こそ燃えるというか(笑) 厳しい環境に身を置いて、頑張ることが私は好きなんですよ。

 

―それで、お店を見つけてご自身で改装されたんですか?

福永さん
福永さん

はい。壁を抜いたり、塗りなおしたり、床板を貼りなおしたり……楽しかったんですけど、いろいろ大変でしたね。

 

―どんなところを大変に感じましたか?

福永さん
福永さん

何かをはじめる前って、すごくプレッシャーがかかるんだなって実感して。「これをやるんだ!」って宣言したけど、まだスタートもしてない状況だから、本当にストレスでした(笑)  「いいものを作りたい。かっこいいとか、素敵な場所だって思われたい」と気負っちゃってるし。

 

―そうして完成したお店ですが、開店当初と2年たった現在でどうですか?

福永さん
福永さん

なにもかも手探りで初めたので最初は大変でした。でも、最近ようやく感じがつかめてきたし、市内でもだんだん知ってもらえて。安定してきたなと感じています。

▲あいころりんのカウンターに立つ福永さん

 

▲カウンターにはテイクアウト用パンやお菓子のコーナーが用意されている。お店のパン・お菓子は福永さんのお姉さんが作っており、こちらを目当てにお店に通う方も多い

 

―市内では「子ども連れのお母さんがくつろげる場所」というイメージが定着しているように思います。

福永さん
福永さん

はい、「こんな風に子どもと過ごせる店があったらいいなって思ってたから嬉しい」とか、目の前で口に出して言ってもらえることもありますね。嬉しくてちょっと泣きそうになっちゃったり(笑)

 

―自分が「いいな」と思ったものを受け入れてもらえるのは本当に幸せですよね

福永さん
福永さん

はい。みなさんの「楽しい思い出」に関わる空間が作れたことが嬉しいですね。

 

―どんな時に、それを実感しますか?

福永さん
福永さん

例えばママさんたちがお店を貸し切り予約してくれた時に、周りを気にせず思いっきりお喋りを楽しむ姿を見た時とかですね。子どもたちも「いつもと違う過ごし方」にすごくはしゃいだりしていて。そういうところに立ち会えると、「ああ、よかった」って思いますね。

 

―そんなふうに使える飲食店って、貴重ですよね

福永さん
福永さん

そう思ってもらえると嬉しいですね。あとは学生のカップルがデートで使ってくれたりすることもあったりして。初々しさにこっちまでソワソワしたり(笑) そういうのも楽しいんですよね。

 

■後編は明日(12/6)公開予定です!

 

Information

カフェ「あいころりん」

・住所:山口県長門市 東深川駅前911-118岩崎ビル2F
・定休日:水・日曜日
・営業時間:金・土曜日は11:00~17:00、そのほかの平日は11:00~14:30
※臨時休業などの情報は公式サイトをご覧ください

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