旅の楽しい思い出を作りたい! 青海島観光汽船・岡村さんのおはなし(後編)

青海島観光汽船の船長、岡村さんへのインタビュー後編をお届けします! 岡村さんがおすすめする観光汽船コースの見どころのほか、知られざる船長さんたちの苦労、お客さんたちへの思いについて語ってもらいました。ぜひ、最後までご覧ください! ※前編はこちら

取材/撮影:村尾悦郎

 

青海島観光汽船 「海上アルプス」の魅力

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―岡村さんが観光汽船のコース内で一番好きな景色ってどこでしょうか?

岡村さん
岡村さん

私は「赤瀬」っていう場所ですね。コースの中で、ここから岩の色が大きく変わってくるんですよ。まるで「ジュラシックパーク」みたいなワイルドな景色が広がります(笑)

赤瀬の風景1(写真提供:青海島観光汽船)

▲赤瀬の風景1(写真提供:青海島観光汽船)

 

赤瀬の風景(写真提供:青海島観光汽船)

▲赤瀬の風景2(写真提供:青海島観光汽船)

 

 

―確かに、あのあたりから岩の色が全く違いますね

岡村さん
岡村さん

海も透き通っていて、すごくきれいで。狭いところを抜けたら青海島の北海岸がワッと広がるんですよ。その景色が一気に変わっていくところが好きですね。いろんな洞窟とかもあるんですけど、このガラッと変わる感じの導入が好きなんですよ。

 

―写真を撮るときにポイントなどありますか?

岡村さん
岡村さん

コース的に、船の右側に岩の景色が広がるので、右側の席から写真を撮影するのがおすすめです。でも、「赤瀬」の周辺は岩の間を縫うように走るので左側にも面白い景色が細かくありますよ。

 

冬の赤瀬。荒波がダイナミックに打ち付ける姿が美しい(写真提供:青海島観光汽船)

▲冬の赤瀬。荒波がダイナミックに打ち付ける姿が美しい(写真提供:青海島観光汽船)

 

―ちなみに、岡村さんが一番好きな季節はいつですか?

岡村さん
岡村さん

やっぱり夏ですね。海が透き通っていて、水深7メートルぐらいでも海の底がきれいに見えたりするんですよ。

 

―コース中の難所はどこでしょうか?

岡村さん
岡村さん

もちろん、洞窟に入るところです(笑)

 

―一部の洞窟は、小型のイルカ船だと入れるんでしたよね

岡村さん
岡村さん

はい。「シータス」とか、クジラ船は無理だけど、私が乗る「れいんぼう」などイルカ船は岩の間ギリギリを通っていけるんですよ。

 

「観音洞」をくぐる「れいんぼう」(写真提供:青海島観光汽船)

▲「観音洞」をくぐる「れいんぼう」(写真提供:青海島観光汽船)

 

―実際に乗らせていただきましたが、本当にスレスレのところを行くんですね。やっぱり難しいんですか?

岡村さん
岡村さん

ものすごく難しいんですよ(笑) 潮や風、波の様子などは毎日違うので、実際に現地に来てみないと、くぐれるかどうか分からないんですよ。今でも岩に当たったりすることはあります。上手くくぐれるとお客さんが拍手をしてくれることもあって、嬉しいですね。

 

「洞窟くぐり」は岩肌スレスレを通る

▲「洞窟くぐり」は岩肌スレスレを通る

 

―確かに、洞窟を抜けたらホッとしました(笑)

岡村さん
岡村さん

でも、洞窟を抜けても船長は油断できないんです。洞窟の周辺は浅瀬や沈み瀬が多いので、ちょっとでも油断するとぶつかったり、乗り上げてしまうんですよ。だから私はアナウンスでもそこを強調するんです。「まだ大変なんですよ!」って(笑)

 

―“腕の見せ所” ですね

岡村さん
岡村さん

はい、練習はかなり積んでいるんですが、やっぱり緊張します。「夫婦洞」は比較的入りやすいんですけど、「大門」が難しいですね。船がギリギリ通れる挟水路で潮の高さによって難易度が変わる場所です。

 

―逆に得意な洞窟はどこですか?

岡村さん
岡村さん

「島見門」っていうところです。ここも本当に船の幅ギリギリになるんですが、結構得意で、一番好きな洞窟なんです。

 

「島見門」をくぐる「れいんぼう」(写真提供:青海島観光汽船)

▲「島見門」をくぐる「れいんぼう」(写真提供:青海島観光汽船)

 

―私が乗った時の「島見門」は、少し様子をうかがってから行かれましたけど、その判断はどんな風にされていますか?

岡村さん
岡村さん

うーん、「波の息」……を見ています。

 

―「波の息」とは?

岡村さん
岡村さん

風って、「ビュー」と強く吹いて、ちょっと落ち着くときがあるじゃないですか。同じように波にも呼吸があって。それを読んで判断しています。例えば船に向かって追い風の時だったら、ちょっと息が止まった時に動かそう、とかですね。

 

―そういった呼吸も経験で培われていくんでしょうか?

岡村さん
岡村さん

はい、毎日波を見てたら、だんだん分かってきます。ベテランの人たちは本当にすごいですよ。雲を見るだけで波の状況が分かったり、トンビの飛んでる高度で風が読めたり。

 

―まさに「長年の勘」ですね

岡村さん
岡村さん

そうなんです。私にはまだまだ想像できない領域ですが(笑) 私もいつかその領域に達せたらいいなって。日々勉強させてもらっています。

 

仕事で大切なこと

―去年、道の駅センザキッチンができてから、仙崎の様子がガラっと変わりましたが、なにか変化は感じられていますか?

岡村さん
岡村さん

センザキッチンができてから、お客さんが増えましたね。特に台湾や香港など、外国の方が増えてきています。だから今、会社でも中国語などに対応したパンフレットを作っているんですよ。

 

―国によって反応が違うことってありますか?

岡村さん
岡村さん

いや、全く違うことはないですね。みんな「すごい!」って言いながらスマホの充電がなくなるまで写真撮ってます(笑)

 

―「一周コース」は1時間20分の大ボリュームですからね

岡村さん
岡村さん

そう。「電池が切れちゃったよ!」っていう方が多いんですよ(笑)

 

―岡村さんがこのお仕事で一番「楽しい」と思う瞬間はどんなところですか?

岡村さん
岡村さん

楽しみですか? ……うーん、全部が楽しいですね(笑)

 

―全部ですか?

岡村さん
岡村さん

はい、観光汽船は単純に船を運転するだけじゃなく、お客さんへの案内や整備など、いろんなことを一人でこなしているんです。前の会社だとお客様を案内することはなく、単純に目的地に向かうだけだったので。「いろんなことをやる」っていうことがすごく楽しくて。

 

―なるほど。では、岡村さんが観光汽船に入って、「変わった」感じるところはありますか?

岡村さん
岡村さん

うーん……喋れるようになりました(笑)

 

―喋れるというのは、船内アナウンスのことですか?

岡村さん
岡村さん

そうです。決まった場所でテープを流すところと、船長自身が解説を入れるところがあるんですけど、大分慣れてきましたね。

 

 

―以前は今ほどスムーズに喋れなかったんですか?

岡村さん
岡村さん

最初は全然ダメでしたね。今でも時々噛みますけど(笑)

 

―景色の見どころだけでなく、季節の魚の様子も交えてお話されていて、とても面白かったです

岡村さん
岡村さん

元々、喋るより聞くほうが好きなので困ったんですけど、今では「何を喋ろうかな」って、普段の生活の中でもネタを探していますね。黄波戸の市場の様子も見て、「今、こんな魚が捕れてますよ」とか話したり。そうすることで「長門の今」を伝えようと心がけてます。

 

―生活と地続きな情報が親しみやすい印象でした

岡村さん
岡村さん

ありがとうございます。「私がお客さんだったらどんなこと知りたいかな?」ということを盛り込んでいます。旅行に行って、各地のクルーズ船などの「喋り」も聞いて、勉強していますよ。

 

―岡村さん以外の船長さんも、アナウンスにそれぞれ個性がありそうですね

岡村さん
岡村さん

はい、全員違います。だから、ぜひいろんな船に乗ってみて欲しいですね。元漁師の方とか、“釣りの神様”みたいな方もいて、それぞれ個性があって楽しいですよ。

 

―観光汽船には景色だけでなく、そういった楽しみ方もあるんですね

岡村さん
岡村さん

そうですね。なのでお客さんがお客さんを読んでくれる感じで、リピーターの方も多いんです。観光汽船のtwitterのフォロワーも最近増えていて、見てくれたお客さんが団体でいらしてくださったこともあります。

 

―青海島の景色って写真だけでは表現しきれないほどダイナミックだから「自分の目で見る」ことの大きな価値があるように感じます。

岡村さん
岡村さん

そうですね。きれいな景色はもちろん、洞窟でのドキドキ感とか、本当にテーマパークみたいなところがあるのでぜひ体験してほしいですね(笑)

 

―そのほかに、何かご自身の変化は感じますか?

岡村さん
岡村さん

そうですね……ここに来るまでは「海は楽しいもの」っていうイメージだけだったんです。だけど、この仕事についてから、いろんな船のトラブルとかを経験して「海の恐ろしさ」もしっかりと知ったので、より一層「安全」に気を付けられるようになりました。

 

―気をつけるべきことが分かってきたということですか?

岡村さん
岡村さん

はい。だから前の自分とは「目」が違いますね。「海を見る目」が変わりました。

 

―岡村さんが仕事で一番大事にしていることって何でしょうか?

岡村さん
岡村さん

まず、お客様の命をお預かりしているので「安全第一」です。責任重大なんですが、そこに誇りを持って仕事をしています。それと、せっかく来てくれた人たちに「楽しい思い出を作りたい」ということですね。その思いを込めて運転しています。

 

 

―今は会社に入って何年目ですか?

岡村さん
岡村さん

5年目ですね。やっと慣れてきたように思います。

 

―これからのお仕事の目標はなんでしょう?

岡村さん
岡村さん

一番の願いは、さっきも話した「お客さんの楽しい思い出が作れるように」っていうことですね。そのために操船の技術だったり、アナウンスの内容を鍛えていく。そうしていつか、テーマパークのクルーズのように、よりエンターテイメントとして質が高いツアーができたらいいなって思いますね。

 

―岡村さんの姿を見ていて思ったのですが、本当に楽しんでお仕事をされてますよね?

岡村さん
岡村さん

そうですね、この会社、楽しいんです(笑) いろんな世代がいて、それこそ社長ともフレンドリーにお話しできて、いろんなことを相談できる。気持ちよく働いています。

 

 

―前の会社よりも肌に合いますか?

岡村さん
岡村さん

はい(笑) 毎日気持ちよく出社して、緊張感がありながらも楽しんで船に乗ることができて。とても充実しています。

 

―では最後に、岡村さんが感じる長門の魅力ってどんなところですか?

岡村さん
岡村さん

やっぱり海がきれいで、お魚はもちろん、食べ物が全部おいしい……つまり、「過ごしやすい」ことかな。街みたいに大きなショッピングモールはないんだけど、自然が身近で、魅力をしっかり感じられるところだと思います。

 

 

青海島観光汽船公式サイト