“生きてる匂い”を感じながら、ゆっくりおしゃべり。「bliss point」のおはなし(第1回)

山口県長門市の油谷・宇津賀(ゆや・うつか)地区の立石(たていし)に、「海のそばのカフェ bliss point(ブリスポイント)」はあります。このお店で楽しめるのは、美しい海の景色やおいしいコーヒーだけでなく、お客さんたちと店主・遠矢美和さんが繰り広げる楽しい“おしゃべり”。遠矢さんの笑顔に誘われて、地元だけでなく県内外からも多くの方が訪れます。そんな遠矢さんに、大切な友達「ちぃちゃん」と共に歩んだお店作りの道、そして立石の方々との優しい交流のお話など、たくさんのエピソードを聞きました。全5回です!

「子育ては後悔できんからね」

▲bliss pointの店主、遠矢美和さん

 

―ご出身はどちらですか?

遠矢さん
遠矢さん

北九州市の小倉の生まれです。大学まで地元で暮らして、それから就職で東京に行きました。

 

―東京でどんなお仕事をされていたんでしょうか?

遠矢さん
遠矢さん

日本航空で国際線のCA(キャビンアテンダント)をしていました。その時代は「スチュワーデス」と呼ばれていましたけど(笑)

 

―華やかなイメージのお仕事ですね。CAはどのぐらいやられたんでしょうか?

遠矢さん
遠矢さん

22歳で就職して、28歳で退職するまで6年間働いていました。在籍中に結婚して、子供が二人生まれたんです。それで、下の男の子が1歳半になるまで育児休暇を取っていたんですが……そのまま辞めました。

 

―それはなぜですか?

遠矢さん
遠矢さん

実は、職場に戻ろうと思っていた矢先に母が亡くなり、父が一人になったので同居しようと思ったのが一つ。それに、親族もいない東京で子育てをするのを不安に思ったのもあります。

 

―状況を見て、そう判断されたんですね

遠矢さん
遠矢さん

あとは、亡くなる前に母から「子育ては後悔できんからね。ちっちゃい時ぐらいは子供の近くにゆっくりおってやんなさい」と言われたことも大きいですね。そのまま亡くなってしまったので。まあ、お母さんとの約束というか……子供と一緒にいようかなって思ったんです。

 

 

―ご主人と一緒に東京から帰ってこられたのですか?

遠矢さん
遠矢さん

いえ、主人とは大学で知り合って、彼はそのまま北九州で就職して働いていました。私も子供が生まれた後は北九州に戻って、育児をしていたんですよ。

 

―それからはどんな生活だったんでしょうか?

遠矢さん
遠矢さん

しばらくは専業主婦をしていました。その後、上の娘が小1になる頃に「そろそろ社会に出ようかな」と思って、小学校の事務補助員になったんです。

 

―そんなお仕事もされていたんですね

遠矢さん
遠矢さん

そうなんです。その頃に主人がね、「僕はどうしてもやりたいことがある。お店をはじめたい! 地域の拠点となるような、飲み屋さんであり、小倉のおもしろい人がたくさん集まるお店を作りたい」って言いだして。

 

―ご主人がサラリーマンを辞めてお店の経営へ……一大決心ですね。

遠矢さん
遠矢さん

「人生を賭けて僕はやるんだ!」って彼が言ったもんですから(笑) 私も一緒にお店をしようかとも思ったけど、まだ子供が二人いたからね。「失敗したときに子供を路頭に迷わせることだけはしちゃダメだ」と思って、教員を目指しはじめたんです。

 

 

―「教員になりたい」と思ったのはなぜですか?

遠矢さん
遠矢さん

事務補助員をやる中で、子供たちの可愛さとか、先生が楽しそうにお仕事されているのを見ていたから、「小学校の先生をやりたいな」と思っていたんです。それで、39歳で通信教育を受けて、41歳で教員免許をとって先生になり、主人はお店をはじめました。

 

―40代から教員になるっていうのは珍しいんでしょうか?

遠矢さん
遠矢さん

私が受けた通信教育は社会人が対象だったんですが、40代は少なかったですね(笑)でも、私みたいに子育て中の母親も何人かいましたよ。

 

―実際に教員として働いてみて、どう感じましたか?

遠矢さん
遠矢さん

「本当になってよかった!」って思うこともたくさんありましたし、実際にやってみて、「言うのとやるのは全然違うんだな」って実感したこともあります(笑) それまでは単純に保護者の目線で、先生に「もっとこうしてほしい」って思うことがあったんだけど。いざ自分がその立場に立ったら、中々手が回らないことも分かって。

 

―教員という仕事は本当に激務だと聞きますね

遠矢さん
遠矢さん

そうなんです(笑) 自分の120%の力を出して子供たちを見ていても、それでも思うように行かなくて。その中で、保護者との連携の大事さだったり、たくさんのことを学んだから、小学校の先生は今も「すごい仕事だな」って尊敬しています。……ちょっと一個だけエピソード言わせてもらっていい?(笑)

 

―どうぞどうぞ(笑)

遠矢さん
遠矢さん

先生をやっていて感動したことがあって。1年生を受け持っていた時にね、ある子が「先生、『戦争』ってなん(何)?」って聞いてきて。

 

―難しい質問ですね

遠矢さん
遠矢さん

私は「戦争はね、国と国とのケンカ。大人同士のケンカだから人も死ぬ」って言ったの。そうしたらまた「どうしたら戦争がなくなるんやろうか?」って聞かれてね。

 

―ますます難しいですね

遠矢さん
遠矢さん

そうなの。私はすぐに答えが出なくて。「じゃあ一緒にこれから考えていこうね」って言ったら、「うん」って言いながらその子は運動場に出ていったの。それからずっと考えながら家に帰って、当時中2の息子に「戦争ってどうしたらなくなるんやろうか?」って聞いたんです。

 

―なんて答えられましたか?

遠矢さん
遠矢さん

息子はずーっと考えた後、ポツリと「他人のことを自分のことのように思えたら、なくなるんやない?」って言ったんです。

 

―すごい!

遠矢さん
遠矢さん

ねぇ(笑)。私はお金とか人種とか宗教とか、難しいことを考えて「それを子供にどう分かりやすく伝えればいいのか?」って、ややこしく考えてたんです。そうしたら息子がものすごいシンプルな答えを言ってくれてね。「こんなことを子供たちに伝えていけばいいんやな」って。学ばせてもらったりしたことがありました。

 

 

>>第2回:「“生きてる匂い” がするよ」

 

Information

「海のそばのカフェ bliss point」

●場所:山口県 長門市 油谷後畑 2237-6
●営業日:月・木・土
●営業時間:11:00~16:00
公式Facebookページ

※「海のそばのカフェ bliss point」は自転車用のラックや空気入れ、ワイヤーロックなどが設置された「サイクルフレンドショップ」です。詳細はこちら

▲人気メニュー「ビーフカレー」

▲日置のスイカを使った「suikaバー」(チョコチップのタネあり/タネなし)など、季節限定のメニューも用意されている