【こちらの募集は締め切られました】
養鶏がさかんに行なわれ、おいしいやきとり屋さんが市内にたくさんある“やきとりのまち”長門。ただいま、そんな長門で日本初となる“やきとり担当”の「地域おこし協力隊」が募集されています(7/31まで)。なにやらおもしろそうな仕事ですが、具体的にどんな仕事を行ない、退任後にはどんな方向に進んでいけるのか、想像するのがちょっと難しい内容の募集です。 ながととでは、やきとり担当協力隊に関わる2人のキーパーソンへインタビュー。受け入れ団体となる株式会社Homeyの青村さん(市内でやきとり店を経営)、そして長門市役所の担当職員である福村さんに詳しいお話を聞かせてもらいました!
取材/撮影:村尾悦郎
地域おこし協力隊とは?
総務省の事業で、地方自治体が募集を行ない、隊員は地域振興に携わりながらその土地への定住を目指す。募集ごとに自治体が定めたミッションがあり、それに沿った活動を行なう。在任期間は最長3年まで(地域おこし協力隊公式サイト)
“やきとり担当”地域おこし協力隊の活動内容(ミッション)
1.やきとりのまち長門の情報発信に関する活動各種ツールを活用した情報発信、各種イベントへの参加等
2.焼き鳥技術の習得及び店舗運営技術の習得に関する活動焼き鳥店舗での実務研修 、各種研修・セミナー受講等
3.交流イベントの企画に関する活動 やきとりを通じた交流イベントの企画等
※募集内容の詳細はこちら
青村さん(株式会社Homey 代表取締役)インタビュー
長門の地域おこし協力隊をサポートする「受け入れ団体」として手を上げた、株式会社Homey・青村さんに、今回の受け入れについて協力隊をどのようにサポートしていきたいか、思いを語っていただきました。

▲長門市内で3店舗を展開する「焼とりや ちくぜん」を経営している青村雅子さん(株式会社Homey 代表取締役)。お店はもちろん、イベントなどでも自ら焼き場に立ってやきとりを焼く職人でもある
―まず、長門のやきとりの魅力を教えてください

そうですね、地域に「深川養鶏協同組合」という養鶏の組合があって、市内で育てた新鮮な鶏肉が手に入ることです。それこそ、朝にさばいたプリプリのお肉でね。これは他の地域と比べて、長門の強みだと言えます。
―新鮮で質の高い鶏肉が安定して使えるということですね。

はい。そして長門は鶏だけじゃなくて、お魚はもちろん、山のものなどいろんな食材に恵まれています。それらを使ったいろんな串焼きを提供できるのも魅力だと思うんです。
―やきとり担当の地域おこし協力隊員には、どんな人に来てもらいたいですか?

第一に、やきとりが好きな人! これは外せません(笑)
―協力隊員と、どんなことをやっていきたいですか?

隊員さんが頑張ってやきとりの技術を習得して、「長門でお店を開きたい!」と思ったらサポートしてあげたいし、ほかには「やきとりンピック」など、やきとりがテーマのイベント運営や企画にも積極的に関わってもらえたら嬉しいかな。
―やきとりに関わるいろいろな仕事をしながら、退任後の可能性を探って欲しいということでしょうか?

そうですね。あと、私が今、やきとりを通じた交流事業をやっていて。それにもぜひ参加してほしいなと思っています。日本だけじゃなくて、世界に向けても……いや、あんまり言いすぎると難しいと思われるからやめとこう(笑)

▲青村さんは日本のやきとりを世界に広める活動も行なっている
―一口に「やきとり」といっても、職人技術だけでなく、いろいろな関わり方があるんですね。

そうそう。やきとりの職人技術を学んだうえで、退任後に他の職人と力を合わせて「新たなお店をプロデュースする」といった方向もアリだと思います。
―「やきとりプロデューサー」ですか。それも面白そうですね。

でしょう?(笑) 面白いお店が長門にできて、他の地域のやきとり職人たちが「長門っていいな」と思ってくれて、お店を作ることを目指して長門に移住するようになったらもっと嬉しいかな。
―そういった方向性を、受け入れ先である株式会社Homeyと、長門市役所と相談しながら決めていくんですね?

そうですね。選択肢はたくさんあるので、様子を見ながら話合っていきたいと思います。
―他にも、協力隊を希望する方にアピールしたいことはありますか?

地域のみなさんも「やきとり」に対して関心が強いので、イベントや企画がやりやすいのも魅力だと思いますよ。それと、街が小さい分、生産者さんとのつながりも強く築けるので、活動の中でぜひ仲良くなって欲しいですね。
―では、具体的にどんな活動をしていくのでしょうか?

どういった方向に行くにしても、まずは「やきとりとは?」ということを学んでもらおうと思っています。私が経営する「焼きとりや ちくぜん」に来てもらい、技術を学びながら、他の活動についても話し合って決めていこうと思っています。

▲青村さんが経営する「焼とりや ちくぜん総本店」。広々とした居心地の良いお店で、女性客も多く訪れる

▲「ちくぜん総本店」の焼き場でやきとりを焼く青村さん
―まずはやきとりの焼き方からスタートするんですね。

はい。私としては、焼き方と共に、やきとりのイベントや「全や連(全国やきとり連絡協議会)」の企画にも関わってもらえたら嬉しいですね。いろいろな人と関わることで退任後のヒントもきっと見つかると思うんです。
―では、やきとり担当の協力隊に興味を持っている方に向けて、青村さんの「やきとり」にかける思いを聞かせてください

私は、地域に根付いた誇れる「長門のやきとり文化」をもっと盛り上げ、日本全国だけでなく海外にも発信したいんです。そして、やきとりに関わることを「子供たちがあこがれる職業にしたい!」っていう思いがあるの。
―青村さんは、その思いを一緒に持ってくれる人を期待しているんですね。

はい。だから、「ちくぜん」はもちろん、活動の中で地域のいろいろなやきとり屋さんから「長門のやきとり」の技術、素晴らしさを吸収してもらって、方向性を一緒に考えていけたらと思っています。
福村さん(長門市役所 企画政策課 地域おこし協力隊担当)インタビュー
続いて、今回のやきとり担当地域おこし協力隊を担当する、長門市役所 企画政策課の福村真惟さんにインタビュー。長門市の地域おこし協力隊の仕組みについて、お話を聞いてみました。

▲福村真惟さん(長門市役所 企画政策課)
―やきとり担当の協力隊を募集することになった経緯を教えてください。

福村:現在、長門市の地域おこし協力隊は「○○地区担当」といった従来の“地域”に入る隊員と同時に、例えば観光や林業など“事業”に関するミッションを持った協力隊の導入も進めていまして。
―その事業内容が今回、「やきとり」に決まったんですね。

そうですね、「やきとりのまち ながと」として、市がアピールしている面もありつつ、近年では市内のやきとり店の担い手不足といった面も鑑みて、地域色を押し出し、かつ長門のやきとり文化を盛り上げる人を協力隊として迎えたいという思いがあります。
―なるほど。では、長門市の地域おこし協力隊受け入れ態勢について、特徴を教えてください。

長門市の大きな特徴は、隊員をサポートする体制に「中間支援団体」という組織を置いている点です。
―それによってどのような効果があるのでしょうか?

長門市と隊員の2者だけで活動内容や方針を決めていくのではなく、長門市と隊員、支援団体の3者がそれぞれ話合うことで、より柔軟な活動を進めていくと共に、よりスムーズに隊員が地域に溶け込めむための間口を広げているんです。
―中間支援団体にはどんな組織がなるのでしょうか?

例えば地域担当だと、その地域に密接に関わる団体やNPO、事業担当だと、その事業に関わる団体になりますね。今回の募集にあたって、初めて一般企業にも募集をかけたところ、Homeyさんが手を上げて下さったんです。
―予算の使い方については、長門市の協力隊はどのような形になるのでしょうか?

地域おこし協力隊の制度自体は国の制度なんですが、特別交付税という形で一人につき年間400万円ほど予算が割り当てられます。長門市では、そのうち半分の200万円を隊員の給与として支払い、残りの200万円のうち約40万円を各種保険料に使用します。さらに残った約160万円が「活動費」として割り当てられます。
―その活動費はどのように使っていくのでしょうか

まず、そのお金を中間支援団体に協力隊受け入れの委託料として支払った上で、協力隊の活動経費として使っていきます。
―具体的に、どのような使い道がありますか?

活動車両やパソコンのリース料など、業務に必要な事務用品・機材に使うと共に、協力隊自身が企画するイベントや事業の費用に使用します。
―そういった内訳も3者で話合いながら決めていくんでしょうか?

そうですね。隊員と支援団体、市役所の3者で協議しながら決定します。
―隊員が住む場所はどうなりますか?

住む家は基本的に中間支援団体が探して用意します。これまでの例だと家賃月1~2万円ほどの一件家を借り、活動費の中から支払われています。
―では、協力隊員になって引っ越してくる際に、自分で家は探さなくてよいのですね。

そうですね。そのあたりは心配しなくて大丈夫です(笑)
―協力隊は退任後に市内で起業するという道もあるかと思いますが、起業に関して長門市からの支援はどんなものがありますか?

長門市では協力隊の起業に補助金を設けています。設備や備品、店舗の家賃など、必要経費に対して最大100万円の支援が受けられます。また、県が行なっている補助事業と信用金庫協会からの助成を活用すれば、最大200万円の支援を受けることができますよ。
―では最後に、やきとり担当の協力隊に期待することはなんでしょうか?

「将来、やきとりのお店を持ちたい!」など、やきとりに関わって生計を立てていきたい方を強く求めています。そして、自分の活動や店舗だけでなく、「やきとりのまち、長門」を俯瞰した視点でとらえながら、街全体をより盛り上げてくれる、そういった思いを持てる方をお待ちしています!
“やきとり担当” 地域おこし協力隊の募集は7/31日締め切りです! 興味のある方はお見逃しなく!
■やきとり担当協力隊の募集詳細はこちら(長門市役所)
■焼とりや ちくぜん総本店