“呑んだ後は味平で!”「みそカツチャンポン」のおはなし ~後編~

「“馬鹿” になれ」

 

―今津さんから見て、この街の魅力って何だと思いますか?

今津さん
今津さん

そうですね…僕はまず、この街の人たちの人間性だと思います。

 

―人間性ですか?

今津さん
今津さん

この街の人たちって、よそから来た人でも気軽に話かけたりしますよね。それに触れたよその方から「ながとの人たちはいいですね~」って言われると、本当に嬉しくなるんです。

 

―お店でもそういった風景を見かけますね。

今津さん
今津さん

そうそう。そういったところが僕は魅力だと感じますね。あとは、僕は通出身なんですが、「美しい海」だと思います。

 

―通のご出身だったんですね。

今津さん
今津さん

はい。父親が船に乗る仕事だったので、「水産高校に行け!」って言われて。親子で船に乗りたいっていう夢があったのかもしれないですけど、こっちになっちゃって(笑)

 

―26歳で独立されたということでしたが、当時のお店の雰囲気はどうでしたか?

今津さん
今津さん

そうですね…あの頃は、若い人が夜営業もやる店を開くこと自体が少なかったんですよ。

 

―では珍しがられたんじゃないですか?

今津さん
今津さん

はい。僕が厨房に立ってると、「おう、ちょっとマスター呼んでくれ!」って言われるんです(笑)。

 

 

―お客さんからしたら「こんな若い人が店主じゃないだろう」と思ったんでしょうね。

今津さん
今津さん

「マスターは僕なんです。」っていうと驚いて「お、おお、そうか。」ってね(笑)。そんなことがよくありましたよ。

 

―そのぐらい珍しいことだったんですね。

今津さん
今津さん

うん、20代で夜のお店のマスターをやっているのは珍しかったですよ。それで軽く見られたこともあったけど、“若い”っていうのでお客さんからよくかわいがってもらいましたね。

 

―お客さんとのことで印象に残っていることはありますか?

今津さん
今津さん

インパクトがあったのは「ええかマスター、商売するんやったら “馬鹿” になったほうがええぞ。」っていう言葉ですね。

 

―「“馬鹿” になれ」ですか?

今津さん
今津さん

言われた当時はよく意味が分からなかったけど、お店を続けていくうちにだんだんと「こういうことかな?」と言葉の意味が分かるようになりました。

 

―どういうことでしょうか?

今津さん
今津さん

お店と自分のことを考えるのではなく、まずお客さんのことを考える。「“馬鹿になるぐらい” お客さんのことを立てる」っていうことです。ある意味、お客さんが「黒」と言えば、白いものでも「黒ですね」って言うような(笑)。

 

―なるほど、そういう意味なんですね。

今津さん
今津さん

僕は高校のラグビー部でいわゆる “体育会系の掟” を叩き込まれていたので結構すんなりと受け入れた方だとと思います(笑)。もう30年以上前ですが、未だにその言葉は頭にありますね。

 

 

―お店の36年の歴史の中で、この街の変化を感じることはありますか?

今津さん
今津さん

そうですねぇ…昔に比べると飲むお客さんが少なくなりましたね。味平も長門の料飲組合に入っているんですが、お店の数自体も僕が入ったころに比べて50店舗ほど少なくなったと思います。

 

―そんなに減ったんですね。

今津さん
今津さん

だから、長い付き合いの常連さんの存在も、もちろん嬉しいですけど、若い方が新たに通ってくれるようになることが本当に嬉しいですね。その方が結婚して、家族で来てくれて。それを見たら「まだやれるぞ!」って希望が持てます(笑)

 

―そうして、新たな常連さんが生まれるのが楽しみなんですね。

今津さん
今津さん

そうなんですよ。今頃も若い子のグループが来るときがあって。そんな時はしっかり大盛りにしてあげますよ。

 

―「いっぱい食べろよ!」っていうサービスですね。

今津さん
今津さん

はい。(しみじみと)嬉しくてね~。大学行ったり就職しても、帰省したときに、お店に寄ってくれたら嬉しいですね。

 

これからの味平

 

―では最後に、これからの味平について聞かせてください。

今津さん
今津さん

そうですね…まず、これからもこのスタイルを長く続けていきたいです。自分たちの気持ちだけじゃなくて、お客さんと作りあげていくお店。お客さんからの要望っていうのはその時々で変化していくので、それに応えられるお店でありたいですね。

 

―「これからもお客さんの声を聞いていく」と。

今津さん
今津さん

お店にはね、お客さんからの言葉が必要なんですよ。要望でも不満でも、「こうしてほしい、こうなったらいいのに」っていう言葉が必要なんです。それはこのお店のことをを考えてくれるっていうことだから。その言葉を、お客さんとのコミュニケーションの中で見つけていきたいですね。…それとね。

 

―なんでしょう?

今津さん
今津さん

もう一つは笑顔かな。大変な時でも笑顔があれば、大概のいざこざは逃げていくから。笑顔を絶やさず、気持ちよくお客さんと接して、良いお店の雰囲気を作って行きたい。「また来たいな」って思ってもらうお店でありたいですね。あとは、キャッチコピーが欲しいかな。

 

―キャッチコピーですか?

今津さん
今津さん

はい、「セブンイレブン、いい気分」みたいな一発で覚えてもらえるいい奴がね。「呑んだ後は味平で!」みたいな(笑)。

 

 

■前編はこちら

 

Information

「お食事処 味平」
・住所:山口県長門市東深川943-27
・営業時間:18:30~翌1:30
・定休日:日曜日