ハンターたちの“心の文化”を知る。俵山「猟供養祭」

“見習いハンター” として活動中の俵山地区・地域おこし協力隊、中野博文さん。ハンターを中心に、ジビエ肉商品の開発や革/骨を使ったアクセサリー制作など、さまざまな事業を行なっています。そんな中野さんから「ぜひ見て欲しいハンターたちの“儀式”があるんだ!」とながととに取材依頼がありました。その儀式とは、一年で狩猟した動物たちを供養する「猟供養祭」。いったいどんな内容なのか、覗かせていただきました!

取材/撮影:村尾悦郎

 

俵山の猟供養祭

長門市の猟供養祭は各地域の猟友会ごとで行なわれます。今回取材した俵山の供養祭は、俵山温泉街にある浄土宗・薬師寺さんにて行なわれました。

 

お堂に猟友会のメンバーが集まり、儀式が始まります。

 

厳かに、お経が読み上げられます。

 

約30分ほどでお経が終わり、お坊さんからの挨拶がありました。

お坊さん「大きな事故もなく猟期が終わり安心しました。私も皆さんが捕られたお肉を頂戴することもあります。そういったこともあり、皆さんと同じ気持ちで “ありがとうございます。” と感謝を込めてお経をあげさせていただきました。」

 

最後に、猟友会の皆さんそれぞれがお焼香を挙げて儀式は終了しました。

 

中野さんにきいてみた

―今回、「取材にきてみてよ!」と誘ってくださったのはなぜですか?

中野さん
中野さん

ハンターって、動物を “捕って捌いて” っていうイメージが先行すると思うんですが、その中にも、こうして動物たちに “ありがとう” と、感謝する文化があるということをもっとたくさんの人に知ってもらいたいと思ったんです。

 

―それがこの「猟供養祭」なんですね。

中野さん
中野さん

はい。その一年、猟で仕留めた動物たちを供養する儀式です。先ほど見てもらったように、猟友会の皆で集まって、お経をあげてもらって、最後にお焼香しながら手を合わせます。

 

―中野さんはハンター活動をはじめて3年目になるわけですが、この供養祭をどのように捉えられていますか?

中野さん
中野さん

まず前提として、猟で捕った動物に対して、“ありがとうございます。いただきます” という感謝の気持ちがあるんです。あるんですが…

 

―なんでしょう?

中野さん
中野さん

現場では中々そうもいかないんですよ。 “今撃たなくては! 早くトドメを刺さなくては!”という思考で頭がいっぱいになることもあるし、そんな中で、感謝の気持ちが薄れていくことがあるのも事実で。

 

―まさに “ 生きるか死ぬか” の世界だからですね。

中野さん
中野さん

でも、この儀式によって、“命を奪って、生かさせていただいていること” への感謝の気持ちがあらためて確認できるんです。心を落ち着かせて、お経を聞きながら、手を合わせる。そうすることで、一回気持ちがリセットされるというか。

 

―先ほど言われた「前提としての感謝」に立ち戻るわけですね。

中野さん
中野さん

はい。だからハンターとしての一年をまとめる、すごく大事な儀式だなと思っています。これをやらずに猟を続けていくと、どこかで心が破綻しそうな気がするんですよ。大げさに言うと “殺戮” に慣れてしまうような。

 

―つまり、この儀式は供養する動物のためでもあると同時に、ハンターの皆さん自身のためでもあるんですね。

中野さん
中野さん

そうなんです。僕はこの儀式の意義をそう感じています。これがあるから心が引き締まり、また新たな活動に挑んでいく。猟の様子だけでなく、こういったハンターの “心の文化” も、ぜひ知ってもらいたいですね。